プレスラボ

2020
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成瀬 瑛理子

成瀬 瑛理子

2010年の1月、私はちょうど成人を迎えていた。
「せっかくだし、はたちの抱負を発表しようよ」と飲み会の席で言い始めたのは私だった。
じゃあ言い出しっぺから、となったものの「えっと……」とそのまま言葉に詰まる。途中で友達みんなから「何も考えてないじゃん!」と突っ込まれて笑い合った。酔ってたせいなのか、なんだか無性に楽しかったことを覚えている。

2019年の年末。30歳になった私たちは懲りずにまた飲みながら「三十路の目標でも」という話になり、結局、昔と同じように何も考えていないことを指摘して笑っていた。

10年経っても同じ顔ぶれで、中身のないやりとりを繰り返す。人はこれを成長していない、というのかもしれない。

「いくつになっても変わり続けなければいけない」というのはよく耳にする。それは間違いないだろう。一方、この10年で変わらなかったものはどれだけあるのだろうか、とも思う。

私がプレスラボに入社したのは2015年の春。
当時は全員が黙々とパソコンに向かい、良い意味で少しピリッとした空気が流れていた。月日とともにメンバーが変わり、仕事の領域も少しずつ広がっていき、オフィスはリノベをして新しくなり、会社から見える下北沢の風景もまるで違って見える。

変わろうとしなくても、変わっていくのが自然なのかもしれない。

20歳だった自分を振り返ったときに、変わってないところを見つける方が難しい。抱負も何もなくても、いつのまにか勝手に変わってしまう。

時代も、会社も、周りも、自分も。ますます変わり続けるのだろう。やりたい仕事や書きたいこと……これから先の自分の姿が全く予想できない。

ただ、変化の多い中で変わっていないものもたしかに存在する。

たとえば、友達。この10年でそれぞれ違う仕事に就き、別の人生を生きていて、疎遠になるチャンスなんていくらでもあったはずなのに。

結局、変わらなかったものは、失いたくなくて変えなかっただけに過ぎない。つまり、変わらなかった何かこそ、自分が本当に大切にしたいことなのではないだろうか。
ひとつの時代の節目にあたって、そんなふうに思うようになった。

2020年を迎え、これから会社も新しく変わっていくタイミングになるのかもしれません。

私個人としても変わり続けなければいけない一方で、残したい何かは守っていたい。新しいものにばかり目がいきがちだけれども、変えたくないことを改めてこの10年で考え続けていきたい。

相変わらず大きな目標もないけれども、そんな気持ちをもって頑張りたいと思います。
今年もよろしくお願いいたします。

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撮影協力:齋藤 大輔
今年もよろしくおねがいします