プレスラボ

2020
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斎藤 充博

斎藤 充博

2010年代はマッサージに明け暮れていた。マッサージといっても受ける方じゃなくて、施術する方だ。

僕は2009年にサラリーマンを辞めて、マッサージの専門学校に入った。専門学校の課程は長くて3年もかかるし、試験も受けなくてはいけない(医療系の国家資格という扱いになる)。卒業した後は寝たきりの高齢者の家に行ってマッサージをしたり、自分でマッサージのためのスペースを持って、お客さんに来てもらったりした。

僕がマッサージをするときに目指していたのは「いい空間」を作ること。内装に気を配るという意味ではない。いいマッサージを受けると、五感と思考の全てがマッサージの快楽に集中してゆく。その結果、自分がいる空間そのものが変わっていくような錯覚をうけるのだ。そんなことを、ずっと考えていた10年だった。

マッサージ師を辞めた理由はいくつかあるが、大きいものとして「目指していたことがわりと安定してできるようになった」からというのがある。10年考え続ければ、できてしまうのだ。

流れ流れて、2020年のいま僕はプレスラボで編集をしている。マッサージと全然違う仕事のように見えるかもしれないが、実はやりたいことはそんなに変わらない。今度は、コンテンツを通して、読者の五感と思考の全てを快楽に陥れ、空間全てが変わっていくような体験をしてもらいたいと思っている。

つまり、メディアを通して不特定多数の人を一挙にマッサージするのだ。これは基本的に一対一の施術になるマッサージ師だったころには叶わないことだった。

僕が次の10年にやっていきたいことはこれだ。たぶん10年くらいかかるのでは。10年たてばできるようになるのでは。……と思うんですが、どうでしょうかね。やれるんでしょうか。

ここまで勢いよく書いていたけど、急に自信がなくなって、文体がですます調になってしまいました。えへへ。とにかく今年もなにとぞよろしくお願いします(お辞儀を繰り返しながらのもみ手)。

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撮影協力:齋藤 大輔
今年もよろしくおねがいします